T ビル


(所在地)岐阜市 (構造)鉄筋コンクリート2階建 (延面積)60坪 (工事費)給排水・空調別 2000万円
 
 この建物は、給排水工事業を営む小さな会社の事務所です。1階は倉庫、2階が事務スペースになっています。外観は南北に延びた四角い管を、刃物で切断した様な形になっています。1階が作業場としてハードな使われ方をする事も考慮し、鉄筋コンクリート造としました。
 ここでは、建物の構造についてお話してみたいと思います。鉄筋と鉄骨と木造、どれが地震に強いのか、どれが安価なのか、どれが一番優れているのか、そんな事をよく聞かれる事があります。木造や鉄骨造はタケヒゴに紙を張りつけた張子の様な構造で、軽くしなやかです。鉄筋コンクリート造は石膏を流し込んだ像の様に、重く固い構造になっています。これらの性質や材料の特性が、耐震性や耐久性等々に大きく関わっている事は確かです。ただ、それぞれの点において、どの構造が一番優れているかを一概に言う事は出来ません。与えられた条件や建物の作り方は、皆それぞれ異なっているからです。例えば、阪神大震災では多くの木造が倒壊しましたが、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が被害を受けた中、無傷な木造もありました。また、鉄筋コンクリート造はコストが高いとよく言われますが、この建物では、むしろ安価に抑えるためにこの構造を選んだという側面もあります。建物の構造の特色は一義的に決まるものではないのです。
 建築は構造・素材・間取等々、その組み合わせによって無限のバリエーションが考えられます。それぞれの土地にそれぞれの条件が与えられ、そこから一番適した、というよりも一番すばらしいと思える形に作り上げていくのです。