U 邸 (1997年度 中部建築賞受賞)


(所在地)岐阜市 (構造)鉄筋コンクリート3階建 (延面積)40坪 (総工費)2000万円
 
 この建物は僕の住宅兼事務所です。敷地は南北に細長い三角形の土地で、南は墓地、西は長良川の堤防に面しています。長良川を建物から直接見える様にする事、それが計画時の最優先項目でした。測量の結果、建物を三階建とし屋上を作る必要が生じました。また、ローコストに抑えるため、出来るだけシンプルにする事も考えました。南の墓地と西の川を、死と西方浄土のイメージにすぐに結びつけるのは短絡的ですが、ここに初めてきた時、この土地に強い力(ゲニウス・ロキ)を感じたのは事実です。こういう力を感じる事は滅多にありません。この力を表現する事も計画上の大きなテーマとなりました。
 出来上がった建物を雰囲気(Aura)やイメージといった視点からお話ししてみましょう。外観は直方体の塊に1枚の壁が張りついたような形となっています。ここには、近代的な箱形のビル(モダニズム)と墓石(死・廃虚)という2つのイメージがダブっています。また、写真からは分かりづらいと思いますが、見る人に曖昧なイメージをわかせる様な、いくつかの仕掛けがしてあります。例えば、西側の壁面は他の面と仕上げを変え、切断面の様にしてあります。これによって建物は完結した形にも、西側へ拡がる大きな形の一部を切り取ったようにも見えます。また直方体と壁は2つの要素にも、1体にも見える様なつながり方にしてあります。他にも、斜めに傾いた塀やコンクリートの床、頂上に取り付いた沖縄のシーサー等々。全てが建物に曖昧なイメージの衣をまとわせる仕掛けとなっています。内部もまた装飾のない白い壁(漆喰壁)と土色のコンクリートの床(土間)という構成に、モダニズムと和という2つのイメージをダブらせています。
 何故か心に引っかかる、そんな雰囲気が漂ってくればと思っています。