岐阜建築探訪団


ボランティアについて
市民主体の活動


探●多田直人(多田直人建築研究所主宰)・吉田和男(空建築企画事務所主宰)
川●川合宗次(NPO法人岐阜羽島ボランティア協会理事長)
今回私たち建築探訪団は、電気事業の傍ら25年の間ボランティア活動をされている「岐阜羽島ボランティア協会」理事 川合宗次さんに『活動を通してみた住宅のありかた、町づくり』のお話を伺いました。

探● 今日はお忙しいところお時間をつくっていただきありがとうございます。早速ですが、この岐阜羽島ボランティア協会とはどのような活動をおこなっているのですか。
川● 大きく分けますと市民活動センターと生活自立支援センターがあります。市民活動センターは啓発的な事業を行っております。たとえば、ボランティアのコーディネート、旅行、ボランティアスクールの研修、学習会、又訪問介護養成研修会、福祉住環境コーディネーター養成研修会などの事業です。もう一つの生活自立支援センターは移送サービス、身体障害者ディサービス、訪問入浴サービス、又レスバイト事業と言って介護保険以外の支援事業も行います。大きくこの二つを行っております。
探● いつ頃から始められたのですか。
川● 身体障害者ディサービスは昨年の10月から始まりました。団体は20年前からありましたが、社会福祉協議会から独立してすべて自主事業にきりかえNPO法人化しました。もともとボランティア活動を行っておりましたが、それプラス直接支援する事業を始めました。
探● 何人ぐらいの会員がみえるのですか。又だれでもできるのですか。
川● えーと今年3月31日で正会員が340人、高校生以下の方が24人、今現在ですと400人以上になっております。ボランティア活動は誰にでもできます。結局やりたいことをやる。ただ、無責任にやることではなく、とにかく本人が自発的にやるものです。そして楽しくやることをどう見つけるかそれが問題ですね。
探● 具体的には、どのような活動になるのですか。
川● 色々な活動があるので、説明しにくいですが、たとえば一つの市民がつくる社会福祉協議会だと思ってもらえればいいのではないかと思います。具体的にはボランティアが専従のスタッフを雇用して運営しています。ちょっと違うのは社協とはちがって介護保険関連の事業は介入せずにそこをサポートしていく方向です。例えば、将来的にはケアーマネージャーの資質を評価する機関とか福祉住環境整備でそれを直接やるのではなく養成する機関、コーディネートし、それをサポートしていきます。市民の立場に立った評価機関など目指しております。その中には建築も含まれます。
探● 建築の話が出ましたが福祉と建築の関係でなにか気づくことはありますか。
川● 得に最近住宅などにおいてバリアフリー、ユニバーサルデザインといわれる時代なのに、まーちょっとお粗末でどうしようもない建物がありますね。
探● それはどのようなことですか。
川● 建築設計においては本当に住む人のことを考え、その人の長い人生と向き合あうというか、建てた以上責任があると思います。その中で、デザインがちゃんと人に融合しておれば良いと思いますがそこまでも考えないうわべだけのデザインが多すぎるように思えます。又そんな建物が雑誌などによく掲載されており、私達の視点からみると本当におかしく最悪な気がします。
探● デザイナーが一人一人の住まい手に向き合っていくことがもっとも大事なことなのですね。
川● そうです。とくに住宅の場合それをしっかりやらなくてはもうだめです。それと設計する人が建築だけでなくもっと広い知識と経験をもつことが必要だと思います。
探● それをやらない限り本当の居心地の良い住まいはできないでしょうね。話しは変わりますが、建築を巻き込むボランティアの動きはありますか。
川● 最近、設計士さんなどのNPOなどができていますが、一方的な建築の立場だけでなく広い見識を持った活動を期待しています。そしてあくまでも中立な機関が推進してその組織も評価される必要があると思います。でないと常に片寄った方向にいくおそれがでてくるのではないかと思います。愛知県などは、合成と設計事務所と医療福祉など、みんなで手を結んだ中立的なボランティア機関を立ち上げており、市民のためのこのような機関が成功しています。又三重県では外核団体に行政がお金を出し予算をこなしていくのではなく、市民ボランティアを養成して市民の行う活動、環境作りを行政が直接支援しています。お金を使わなくても活動できる環境を、市民と行政みんなで作っていく動きです。凄いです!
探● 岐阜は福祉サービスに対してどうですか。
川● 岐阜県では福祉施策に対して非常に前向きに取り組んでいますが、市民主体という意味では遅れている現状があるようです。
探● 何が遅れているのですか。
川● それは行政サービスとか特別養護老人施設、その他の施設の数というより福祉分野でのボランティアの数、市民活動が少ないことです。それと県民のボランティア、福祉に対する意識が低いことが問題です。ですからなかなかボランティアが育たないんです。全国にはボランティアがつくる福祉サービスがたくさんあります。このようなボランティアによるサービスは行政ができない部分を補うことができます。それにより市民の福祉生活水準がきめこまかくなり充実してくるのです。
探● どうしたらよいでしょう。
川● 行政もそうですが、横とのつながりが大事だと思います。その部分だけ行うのではなく、お互い横とのつながりが大事になってきています。その役目が市民であり、ボランティア機関なのです。又市民と向かい合いそれを受けとめる行政の対応がどうかと言うところです。現在、羽島市では非常に前向きに取り組んできていますよ。
探● 建築関係もそうかもしれませんが、利益がでそうなところにはどんどんつながるが、自分達に関係のないところでは無関心になるのでしょうね。
川● そうです。しかし私達市民(自分達)自覚して取り組んでいくしかないでしょうね。
探● その通りですね。
川● ここのボランティア団体は、大阪ボランティア協会や世田谷ボランティア協会から勉強してるのですが、例えば大阪では昔から街作りは行政が作るのではなく、市民が作る意識が先攻しています。例えば、橋一本作ることも市民が作るという意識があります。このへんでは公共のものは行政が作り建てるというのが当たり前の感じですが・・・
探● そうですね。それでなにかあると役所に責任を追求していくという感じですね。それからの公共建築は、どんな考え方で、どんな運営をしていくのか。そのためにどんな内容の建築をどんな予算で計画しているのかを情報公開して、市民の意見を広く聞く必要があると思いますね。
川● そうです。自分達のまちは、自分達の責任で作るんだという市民意識をもつためにも、市民主体の意識づくりが本当に必要です。
探● 今日はたいへん貴重なお話ありがとうございました。