岐阜建築探訪団

コンベンションセンター
長良川国際会議場

ここ数年、県林政部・林業センター職員と共に、県産木材促進と健康な住まい造りについて、グループ勉強を重ねてきた。グループの趣旨活動として、5つのコンセプト(柱)を設定し、現実化に向けてスタートした。

  1. 県産木材の利用
    木材流通コスト低減による木の住まい、余り現象を起こしている県産材(スギ等)の良い木を安価配給し、安心な木の住まいを考える。
  2. エコロジー(環境保護)な住まい
    自然木材(ムク材)を多く使用した住まい、合板に含まれる体に有害な化学薬品等の問題を考える。(発ガン・アトピー問題)
  3. 省エネルギー:高断熱・高気密な住まい
    壁・床・屋根の断熱化・開口部の2重サッシによりガス代・電機代の節約を考える。
  4. 輸入建材商品円高メリットを活かした住まい
    省エネ先進国北欧・北米の標準品断熱サッシ等の利用を考える。
  5. 現代の家:現代民家型の住まい
    私たちに合った住み良いプラン・耐震性に優れた、自然の素材を活かした木の住まいを考える。
といった内容に取り組みつつ、現実化した方法を提示できるところまでになってきた。この様な取り組みをしているグループの目から、新しく建ったコンベンションセンター雑感を書かせていただく機会を持ち、さっそく建物に向かう。コンベンションセンター設計者:安藤忠雄氏は、全てコンクリートで表現した住居(住吉の長屋)や住宅内にコンクリートの茶室を造るなど、コンクリートの魅力を表現している建築家であり、また近年世界的建築賞プリッカー賞など多数受賞する前衛建築家として第一線で活躍されている建築家である。そんな安藤氏が、岐阜といえば県歌にも「岐阜は木の国、山の国」と唄われている様に、長良川・金華山という自然と鵜飼という観光をイメージさせる県であり、自然といった事を、どの様に建物に取り入れているのか、コンセプトはどこにあるのかと思いつつ建物を見学した。
玄関からコンクリートの大きな壁。何か入る前から全てコンクリートだぞと言わんばかりの佇まいである。エントランスホール・市民ギャラリーへと入る。吹き抜け天井を支える四本のコンクリート柱にそっと見上げると、上部トップライトより照らしだされたラセン階段が見える。(うん、あそこまで登ってみたい。)と階段を登りだすが、直接にはラセン階段までいきつくことはできず、大きく迂回して別階段にて、やっとラセン階段のある階へとたどり着く。(すぐ行けないよ、これじゃ迷路だよ。)2階市民ギャラリー横のホワイエ(休憩室)西側のコンクリート壁スリット(細長い)窓より光が差し込む。「また、コンクリート!床以外は全てコンクリート。建築法規上、耐火(燃えない)構造としなければならないとはいえ、なにも全てコンクリートにすることはないんじゃない。」といった声が聞こえてくる。
ぐるぐるとコンクリートの壁の中を歩き廻り、最上階卵型ドーム内の国際会議室に入る。開閉式壁を開け放つと、正面には長良川対岸の金華山、岐阜城が目に飛び込んでくる。あっ、そうか。コンベンションセンターは、どこからも川や山といった自然を建物の内に取り込む手法ではなく、潜在意識の自然と同通させる事を考えたのではないか。そう、市民ギャラリー四本の大きな柱、上部よりこもれ落ちる光。森のイメージ。山歩きなどした時、森の中に入り込む何度も同じ道を歩いている様な迷路感。ホワイエ・スリットからの光は、林や木立ちの間から差し込む光。国際会議室の大きな開口から見る金華山。
いままで閉じた閉鎖的な空間から、大きく外界に開かれたシーンを見ることにより、自然と一体感を感じさせる手法。設計者は、この建物でイメージ(意識)として森・林・自然・身体五感を越えて六感で感じてくれといっているのではないか。卵型ドームは宇宙卵として、想像・発想を生む場として提示したかったのではないかと考える。前衛建築家、直接的にはものを言わず、暗示的な物づくりと感じた。私達グループは、直接住まう、生活する、触る、感じる、といった処から取り組みをしてきた。一方、コンベンションセンターは、都市化されつつある岐阜の街に自然のイメージ(コンピュータグラフィック、映像)としてとらえる近未来を暗示させる建物がある。
しかし、市民の公共建築としては、多くの人々が利用し、人と人とのふれあいの場として、外部大階段屋根などは、ローマのスペイン広場の階段(映画ローマの休日にも登場)を思わせる。恋人達の愛の語らいの場や、旅行者が市民や観光客が何気なくくつろぎ、会話する場として、和をもった利用が、コンクリートの閉ざされた世界、イメージとしての自然ではなく、開かれた世界・自然への身体・心の回帰していく姿を設計者に投げ帰し利用していくことが良い使われ方ではないかと想いながら、建物を後にした。
木の住まい・木造フォーラム 岐阜代表:一級建築士 加藤仁司